アテネ・フランセ文化センターで井上徹さんの講演
「ジガ・ヴェルトフとロシア・アヴァンギャルド映画」
グループ分けして、わかりやすく説明され、だいぶ「そうか!」と思ったことがあった。
*メジラブポム(国際労働者救援委員会)=ルーシ撮影所系(モスクワ)
レフ・クレショフが国立映画学校設立
クレショフ工房門下の人々としては
フセヴォロド・フドプキン
ボリス・バルネット
ヤーコフ・プロタザーノフ(世代的にはかなり上)
*メイエルホリド系(モスクワ)
演劇の前衛メイエルホリドの元で演劇、やがて映画の世界へ
セルゲイ・エイゼンシュテイン
セルゲイ・ユトケーヴィチ(※フェクスにも参加)
*雑誌「レフ」系(モスクワ)
<オポヤズ>(詩的言語協会)のグループ、雑誌「レフ」寄稿者たち
ヴィクトル・シクロフスキー 映画評論・脚本
ユーリー・トゥイニャーノフ(※フェクスにも参加)
*フェクス(エキセントリック俳優工場)(レニングラード)
1921年末演劇グループとして発足、演劇工房として活動後、1925年に映画工場に。1927年レニングラードキノの改組。現レンフィルム
グリゴリー・コージンツェフ ユトケーヴィチと同級生、姉の夫は作家のイリヤ・エレンブルグ
レオニード・トラウベルグ
ピョートル・ソボレフスキー(俳優)
リュドミーラ・セミョーノワ(女優)
セルゲイ・ゲラシーモフ(俳優、監督「静かなドン」等)
エレーナ・クジミナ(女優、バルネットの妻)
ヤニナ・ジェイモ(俳優)
アンドレイ・モスクヴィン(撮影監督「イワン雷帝」等)
ユーリー・トゥイニャーノフ(脚本)
ドミトリー・ショスタコーヴィチ(音楽)
*
ジガ・ヴェルトフの周辺
「映画眼」の三人組
ジガ・ヴェルトフ
エリザヴェータ・スヴィーロワ(ヴェルトフの妻、編集)
ミハイル・カウフマン(ヴェルトフの弟、撮影)
ボリス・カウフマンは両親とともに亡命した末弟
ヴェルトフの本名(ユダヤ名)はダヴィド・アーヴェレヴィチ・カウフマン、スラヴ名はデニス・アルカージエヴィチ・カウフマン
ミハイルのユダヤ名はモイセイ・アブラモヴィチ・カウフマン(兄弟で父称が違う?!)
アレクサンドル・メドヴェドキン
ウクライナ映画の父アレクサンドル・ドヴジェンコ これぞアヴァンギャルドだよなあ・・・何度観ても理解不能だ。
「シネマ・ヴェリテ」「ジガ・ヴェルトフ集団 直接関係がルわけではないが。
このように図式化してしまうと、メジラブポム=ルーシ(モスクワ)、メイエルホリド(モスクワ)、レフ(モスクワ)、フェクス(レニングラード)となるが、ロシア・アヴァンギャルド、否ソヴィエトのアヴァンギャルドにおいて、もう一つ(二つ?)の拠点かもしれないウクライナ。
*キエフ生まれのコージンツェフ。アレクサンドラ・エクステルの画塾(キエフ)に通う。
*オデッサ生まれ、オデッサで演劇活動をしていたトラウベルク。
フェクスの二枚看板が実はウクライナ出身だったんだ。
あたりまえだけど、アヴァンギャルドの面々は、現在の「ロシア」の範疇にはおさまっていない。
シャガールはベラルーシのヴィテプスク、エイゼンシュテインはラトヴィアのリガ。
「シャガール ロシア・アヴァンギャルドとの出会い」展カタログの作家解説だと
*アレクサンドル・アルキペンコ(キエフ生まれ)
*ヴァシリー・カンディンスキー(モスクワ生まれ、オデッサ育ち)
*ミハイル・ラリオーノフ(ティラスポリ生まれ←シェリフ・ティラスポリで知られる?モルドヴァ内の非承認国家沿ドニエストルの首都)
*ジャック・リプシッツ(ドルスキエニキ(リトアニア)生まれ)
*カジミール・マレーヴィチ(キエフ生まれ)
*ジャン・プーニ(クオッカラ(当時フィンランド、現ロシア)生まれ、イタリア系)
*レオポルド・シュルヴァージュ(一応モスクワ生まれだが、ヴィルマストランド(フィンランド)説あり)
元々ユダヤ人多いし。
この展覧会にはなかったが、上で名前の出たエクステルはベロストク(現ポーランド)生まれ、モスクワ、ペテルブルグ、キエフやオデッサ
で活動。
ウクライナのアヴァンギャルドのことはもっと知りたくなった。
が、日本ではまだきちんと研究されていなそう。