右が固けりゃ左を攻めろ

ケン・ローチの新作「エリックを探して」(原題:Looking For Eric)は
・・・駄洒落じゃん!? 
別にエリックを探しはしてなかった。King Ericって言いたかっただけでしょ?!
 
コメディーだというので軽いノリだろうとなめていたが、思ったよりシビアな面もあった。さすがケン・ローチ。
以前ならイングランドではサッカーを観るのは基本的人権という認識なので(幸福追求権かな)、TVは無料放送、チケットもお手頃値段だった。
が、今では高い衛星放送、チケットも値上がり。
マンチェスター・ユナイテッドの大ファンの主人公も、「もう10年もスタジアムに行っていない」と言うし、パブでは仲間たちが最近のプレミア批判を繰り広げる。
 
自ら企画を売り込んだだけあって、エリック・カントナ(写真左:本人)の魅力炸裂です。
ベストゴール集を観ているよう。
で、マンチェスターで郵便の仕分けをしている、公私ともにダメ男のエリック(写真右、スティーヴ・エベッツ)に優しく厳しくアドヴァイス。
それがシンプルでわかりやすい助言なんですよ。
カッコいい~~~~!!!
カントナはフランス人なので、フランス語の格言(←主人公にはわかりません)なんか混ぜながらですが。
「人生で最高の瞬間は、***戦のゴールか?それともベッカムのコーナーキックを決めたゴールか?それともカンチェルスキスの***を+++したあれ?」と主人公に聞かれ、「ゴールじゃなくてパスが決まった時」と応えるカントナ。
「仲間を信じろ!」ってことですね。
「うまくいかないときは状況を変えてみろ」(髭をそってみる主人公)
「可能性を広げろ」
「右が固けりゃ左を攻めろ」(今朝のルビンはそうだったな)
まあ、冷静になって考えれば誰しも思いつきそうな言葉ですが、そんなんでうまくいけば世話ないだろ、とか言いたくもなるものだったりもしますが、主人公が大いにリスペクトしている人物から言われた言葉だというのが重要です。
だから素直に受け入れてみるのです。
そのうえ、カントナ大サービスで、トランペットの腕まで披露。うまくないけど。
9か月の出場停止をくらっていた時、何か目標をと始めたそうです。
さらにダンス(しかも女役)も・・・!
 
主人公とその家族、絶体絶命の状況から、郵便局の仲間(ルーニーを彷彿とさせるようなおっさんたちだ)とともにエリック・カントナ作戦行動開始!!!
(このへんは「ブレッド・アンド・ローズ」落ちって感じもする。)
大笑いだ!痛快なラストへ。
そして最後の最後まで見逃さないように!
上映後拍手がわきました。
 
・カンチェルスキスが出てきたのには感激。
・主人公の家族構成はちょっとわからなかったな。最初の妻で今でも大好き!なリリーとの間に優等生の女の子(デビーって名前だったか)、その子ども(つまり主人公の孫)がいて、同居しているのは別の女性との子どもである息子二人。その別の女性は全く登場せず、「服役中」という情報もウェブ上で見かけた。上の息子は英国人の容貌で、下の息子はアフリカンな感じ。主人公はリリーのことはすごく思っているけど、息子の母親のことは一切話題にしない。
・リリーはいかにも医療労働者という風貌の女性。
・郵便局の仲間はお約束のように素敵だ。
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